1980年代まで、脳の機能に男女差はないと考えられていました。
というのも、脳のサンプルというのが戦死した男性のものばかりだったので、女性の脳というのは調べようがなかったのです。
しかし1990年代に入り、fMRIやPETという生きている人間の脳内が調べられる機器が登場したおかげで、現代では脳には様々な性差があることがわかっています。
現在までにわかっていることで、特に恋愛に関するものについて、ここで箇条書きにしてみたいと思います。
【1】恋愛が最も発展しやすいのは秋
全ての生物は、最も安全に子供を産み落とせる時期に合わせて発情するようにできています。
ウグイスなどの鳥類は、食料が豊富な夏に卵が孵化するよう、春に発情して鳴くワケです。
(ホーホケキョ♪)
ヒトの場合は動物界でもかなり珍しく一年中発情しているのですが、やはり気温も高く、食料が豊富な初夏頃に子供産んだ方が有利なので、秋頃に最も欲情するようにできています。
実際に、テストステロンやエストロゲンなどの恋愛系のホルモンが最も活発になるのは、秋だということがわかっています。
相手を惚れさせる、好きにさせる、の駆け引きは夏~秋にかけてがオススメです。
【2】女よりも男の方が24倍エッチ
日本で唯一、恋愛学の講義を早稲田大学で行っている森川友義教授は、
「路上で道行く異性の魅力度を判定してもらう」
という調査を複数回にわたって行った結果、
「平均一目惚れ率は、女性が0.05%、男性が1.2%だった」
と報告しています。
単純に考えて、男性は女性よりもストライクゾーンが24倍広いということになります。
「一目惚れ=性対象」だと解釈すれば、 男性の方が24倍エロイということになります。
「男と女はどっちがHか?」という議論はよくされますが、答えは既に出ていたのですね。
【3】最も良い恋愛ができるのは「何も考えていない時」
脳科学者の茂木健一郎氏は、恋活・婚活中は、理想の恋人のイメージを抱いたり、条件付けをしてはならないと警鐘を鳴らしています。
氏によれば、脳は何も考えていない時に最も視野が広くなり、冷静な判断ができるといいます。
これを「デフォルト・ネットワーク」といいます。
何か目的がある時は、それに集中してしまうので、全体像が見えなくなってしまうのです。
なるほど、「結婚相談所で相手に多くの条件を出す人ほど婚期が遅くなる」というデータも納得できます。
デフォルトネットワークを鍛える方法として「何も考えずに散歩すること」を茂木氏は推奨しています。
時間も場所も目的地も何も決めずにボケ~っとすることで、このデフォルトネットワークが機能するとのことです。
「あわてないあわてない 一休み一休み」
という一休さんの提案は、脳科学的にも正しいということになります。
【4】「結婚したら太る」は科学的に説明できる
結婚して婚活の緊張感から解き放たれると、緊張ホルモンと呼ばれているいる「アドレナリン」や「ノルアドレナリン」の分泌量が減ります。
これらのホルモンは、脂肪を分解する酵素「リパーゼ」を活性化させる役目を担っています。
つまり「人は緊張感がなくなると太る」ことが脳科学的に説明できるワケです。
また、恋愛の初期段階で分泌されるPEA(フェニルエチルアミン)という脳内ホルモンには、食欲を減退させる作用があります。
恋人同士の時は、お互いにスリムな体型で、寝る間を惜しんででも会ったのに、結婚した途端にブクブクと太りだして寝てばかりになる…これはある程度避けられない現象と言えそうです。
【5】最も一目惚れしやすい年齢は「14歳」
若い時ほど本能を司る大脳辺縁系が活発で、年齢を重ねるごとに理性を司る大脳新皮質が活発になることがわかっています。
前者ほど本能的な恋愛をする、つまり一目惚れしやすいのですが、様々な恋愛系のホルモンが後押しをして、これが最も活発になるのが14歳だといわれているのです。
つまり思春期のド真ん中は多感だということです。
ま、当たり前の話ですが(笑)
【6】「好き」に理由は存在しない
「好き・嫌い」という感情は原始的な脳である大脳辺縁系の扁桃体という部分で判断されています。
そして、あとからこれの理由付けを行っているのが、理性そのものである大脳新皮質です。
ようするに「好き・嫌い」という感情は、本人の意思とは無関係に溢れ出てくるものであり、理性レベルで操作できるものではないということです。
「恋人のどこが好き?」と聞かれると誰でも、「う~ん」と考え込んでしまうのはこのためです。
【7】SEXの回数と「ときめき」は反比例する
脳というのは常に「ないものねだり」であるとされています。
だからどんなに熱烈に愛し合っているカップルでも時間が経てば冷めてくるし、どんなに欲しかったモノでも手に入れると、違うモノが欲しくなったりします。
「ときめき」も手に入っていないモノには抱き続けられますが、既に手に入れたモノに対しては抱き続けることができません。
アイドルに何十年もときめいていられるのは、そのアイドルとSEXしていないからです。
【8】セックスレス打開に最も効果的なのは「不信感」
イギリスの生物学者ロビン・ベーカーは「カップルが一緒にいる時間が長いほど、SEXの時に放出される精子の数も質も低下する」という研究結果を発表しています。
男性は、快感が強いほど射精筋の収縮が強く起こるので、多くの精子を放出します。
精子量が減っているということは、つまりは相手に飽きている事を意味します。
これについてロビン・ベーカーは、
「浮気の心配がない女性に何度も精子を注入する必要がないため、性欲自体が低下する」
と分析しています。
男女共に「この人は浮気しない」と信頼してしまうと、嫉妬をしなくなります。
嫉妬をしなくなるとトキメキが減りますから、SEXの快感が減って最終的にはセックスレスになります。
「ときめき」と「信頼」が両立しないことを物語っています。
セックスレス打開の方法は簡単で、この逆をやればいいだけです。
急に髪型やファッションを変えたり、誰かに言い寄られていることを匂わせたりして、相手に「他の誰かに奪われてしまうかもしれない」と嫉妬させることができれば、相手の不信感は買いますが、エッチは盛り上がると思います。
【9】1人の異性に「飽きない」人は存在していない
1人の異性との間に3人子供を作った人よりも、3人の異性との間に1人ずつ子供を作った人の遺伝子の方が繁栄する確率が高いです。
遺伝子がバラエティに富んでいる分、状況の変化に強いからです。
また、1つの地域で3人子供を作った人よりも、3つの地域に1人ずつ子供を作った人の遺伝子の方が繁栄する確率が高いです。
流行り病などで、一家全滅する可能性が低いからです。
だから我々の脳には、
「常によりよい異性を求めて行動しなさい」
という命令がインプットされています。
浮気をしたことがないという人は沢山いるでしょうが、それはチャンスがないだけで、潜在的な浮気というのは殆どの人がしているのです。
アイドルのコンサートに行くのも、潜在的な浮気といえるでしょう。
【10】記憶は脳だけでなく体の至る所に保存されている
脳は、記憶を「ニューロペプチド」とよばれる神経伝達物質に詰め込んで、体の至る所に放っているらしいということが、近年の研究でわかってきました。
驚くべきことに、記憶は体中のあちこちにファイルされているというのです。
もしこれが本当ならば「心臓移植をされた人がドナーの記憶を引き継ぐ」という話も辻褄が合いますし「恋人同士が似てくる」というのも、キスなどによって記憶や感情を共有していると仮定すれば、説明がつきます。
「会ったこともない先祖の記憶がある」という話も、もし記憶が遺伝しているとするならば、説明がつくかもしれません。
【11】人間の脳は、二次元と三次元を区別できていない
最も分かりやすいのが、男性のAV鑑賞です。
二次元の女性にいくら勃起したところで、子孫繁栄にはちっとも有利にはならないにも関わらず、男性は皆こぞってAVを観ます。
(僕も観ますが笑)
ホラー映画などもそうで、スクリーンに二次元の映像が映っているだけなのに、みんなキャーキャー言いながら見ています。
自らが楽しむために意図的に騙されている部分はあるにせよ、人間の脳は、まだまだ二次元と三次元を明確に区別できてはいません。
なぜ区別できないのかというと、テレビなどが発明されたのはごくごく最近のことで、我々の脳はまだそれを認識できていないからです。
たとえば、あと10万年ほどして、脳が完璧に二次元と三次元を区別できるようになったとしたら、AVやホラー映画はこの世から消えているかもしれません。
【12】「手が冷たい人は心が温かい」は本当
女性ホルモンのエストロゲンが多い女性ほど、肌を露出する傾向があることが知られています。
実際に、このホルモンの分泌量が最も多くなる19才の時に、スカートの丈も最も短くなります。
エストロゲンは、心を穏やかにし、人をやさしい気持ちにさせるホルモンでもあります。
肌を露出しているということは、それだけ体温も低くなるということで、手も冷たくなるということです。
反対に手が暖かい人は男性ホルモンが多いということですから、野性的・好戦的・非協調的といえます。
(男性ホルモンのテストステロンは、筋肉量を増加させ、血流をよくする)
【13】相思相愛には「モノマネ細胞」が関係していた
1996年イタリアの神経学者マルコ・イアコボーニによって「ミラーニューロン」という神経細胞が発見されました。
「ミラーニューロン」はモノマネ細胞ともよばれ、他人と同じ気持ちにさせる脳内細胞だと言われています。
たとえば、笑っている人を見るとこっちまで笑えてきたり、あくびがうつったりするのは、この細胞が原因だと言われているのです。
恋愛にも大いに関係していて、たとえば全然好きじゃなかったのに、いつの間にか好きになってしまった…というのは相手の感情がミラーニューロンによって伝染したからかもしれません。
別れ際においても、「片方が冷めた途端に、もう片方も冷めた」なんて話をよく聞きますが、それもこのミラーニューロンが関係しているのかもしれません。
【14】失恋ソングには癒やし効果があった
恋人にフラれてしまった時、わざと悲しい歌を聞いて、さらに悲しい気持ちになる…そんな自虐的な行動にも脳科学は説明をつけることができます。
実は、悲しい気持ちになることによって、「エンドルフィン」や「オキシトシン」といった「癒やし系のホルモン」を脳内でドバドバ出しているのです。
特にエンドルフィンは「体内性モルヒネ」ともよばれ、その鎮静効果は絶大です。
精神的に弱っている時や、身体が危険な状態にある時などに、自己治癒するために分泌されると言われています。
「ランナーズ・ハイ」も、このエンドルフィンによって起こる現象の1つです。
SMプレイ等、自らを痛めつける行為に快感を感じるというのも、この脳内ホルモンが関係していることでしょう。
【15】男性は自分自身をも騙して女性を口説いている
進化の過程で男性は、「女性の嘘を見破る能力」に対抗して「自分自身をも騙して女性を口説く作戦」に切り替えることに成功しました。
具体的には、目の前にSEXできる可能性がある女性がいると、テストステロンの分泌量が急上昇する仕組みになっています。
テストステロンは、より男らしい言動をしたり、精力をアップさせたりする以外にも、目の前の女性を魅力的に映す効果もあるのです。
エッチの後に、男性が自分自身でも驚くほど冷めてしまうのは、このホルモンの分泌量が激減したからです。
目の前の女性を本当に好きかどうかは、エッチしてみないとその男性自身も分からないのです。
エッチの前に必ず女性は「私のこと本当に好き?」と聞きますが、それは愚問と言えます。
【16】脳は常に平均顔を作成・記憶している
一般女性100人を集めて平均顔を作ると、その100人の誰よりも魅力的な顔が出来上がることが知られています。
こうなる理由は、脳が現代人の平均顔を常に作り、それをもっとも魅力的だと認識するよう機能しているからです。
その証拠に、たったの10年前のアイドルですらも我々は「古臭い」という印象を抱きます。
江戸時代の美人画なんて、ちっとも美人に感じませんよね。
これは脳内で作られる平均顔が、常にアップデートされているからに他なりません。
男性はどんな美人でも飽きてしまいますから、それで流行(メイク・ヘアスタイル等)が移り変わり、平均顔も変わっていく…という歴史がずっと繰り返されているのです。
美容外科医が顔の整形手術をする時、この平均顔に近づくようにやるので、殆ど失敗することはないと言われています。
【17】女性の共感能力は男性の8倍
アメリカ国立衛生研究所のマーク・ジョージ氏は、
「悲しい映像を見せた時の大脳辺縁系の血液量は女性の方が8倍も多い」
という研究結果を発表しています。
これは、それだけその事実に対し、感情をゆり動かされていることを意味しています。
つまり女性は男性の8倍、相手に共感しているのです。
だからよく泣くし、お喋りタイムも長いのです。
この傾向は児童期には既にあり、例えば男の子がすぐに弱そうな子を見つけてはイジめるのに対し、女の子はそれを「かわいそうじゃ~ん」などと言ってかばいます。
【18】女性は男性の10倍以上、皮膚が敏感
前出のマーク・ジョージ氏によると、
「肌に刺激を与えた時、それを感知する脳の部位の血液量は、女性は男性の10倍に達する」
のだそうです。
つまり痛みや圧力、その他あらゆる感触に対して、女性は敏感だということです。
たしかに、男性は運動中にケガをして血が出ていても気付かないことが多いですが、女性ではそういうことはありえません。
女性は男性よりもか弱い分、あらゆる感覚に敏感にできているというワケです。
口の中の感覚も同様で、男性はウマイかマズイかだけですが、女性は「ぷるぷるしてて~」などと必ずその食感を表現します。
新発売のお菓子のパッケージには必ず「新食感」の文字があります。
【19】性格・性的嗜好は生まれた時点でほぼ決まっている
ノースウエスタン大学の心理学者 マイケル・ベイリー博士は、生まれながらにして離れ離れになった一卵性双生児を100組以上調べた結果、
「性格・物欲・社交性・運動神経・性行動などは遺伝でほぼ決まる」
と結論付けています。
性同一性障害にしても、本人の意思ではなく、先天的なものであるということが既にわかっています。
これらは、胎児期に作られる脳の配線で、ほぼ決定されてしまうのです。
母親が妊娠6~8週間の間に、ストレス・病気・一部の薬物などによって胎児に十分なテストステロンを分泌させられなかった場合、生まれた子供は、ほぼゲイになる(男の子だった場合)ということもわかっています。
生まれか?育ちか?という議論は、概ね決着がついているのです。
【20】キスが心地よくなければ健康な子供は産まれない
キスをした瞬間、相手の唾液成分は、ただちに脳に送られます。
そこで、
●健康状態は良好か?
●免疫系の相性はよいか?
●遺伝的な近親性はないか?
などの念入りなチェックが行われます。
そして問題なしとなれば、視床下部が快感物質のドーパミンを出すよう指令を下し、これがA-10神経を興奮させ、快感を覚えるという仕組みになっています。
この間、わずか1秒。
反対に、上記の3つのうちに1つでも問題があれば、 脳はコルチゾールというストレスホルモンを発生させ、個体に不快感を与えます。
それはつまり、健康な子供が産まれてこないことを脳が示唆しているのです。