「似てる・似てない」の恋愛学

似てる人、似てない人、どちらを好きになるか

恋愛本よって、
人は自分と似た人を好きになる
と書いてあったり、
人は自分と似てない人を好きになる
と書いてあったりしますよね?
コレって一体どちらが正しいんでしょうか?

結論から言うと、どちらも正しいようです。
ではなぜ両者の意見は正反対なのかというと、前者は心理学的観点から恋愛を語っていて、後者は、生物学的観点から恋愛を語っているからです。

両者の意見をまとめると、
「人は考え方や環境に関しては自分と似ている人を好きになるが、見た目や身体的特徴に関しては自分と似てない人を好きになる」
ということになります。

このページでは、「似てる・似てない」という観点から恋愛のメカニズムを解き明かしていきたいと思います。

【1】心理学から見た恋愛

心理学は心を考える学問

心理学の世界では、「人は内面や環境が自分と似ている相手に好感を抱く」というのは昔からよく言われています。
これは様々な調査によって証明されていて「同類選択」または「類似性の法則」などとよばれています。

内面や環境とは、人種・言語・居住地域・休日・生活リズム・教育レベル・趣味・価値観・倫理観・宗教・支持政党などのことです。

オタク同士、悪い連中同士が仲間になるのも、オリンピックで自国を応援するのも、この法則があるからです。
恋愛においても、これらの共通点が多い異性ほど、好きになりやすいというのは、間違いないようです。

同類選択が働く理由

「同類選択」の意識が働く理由はストレスを減らすため、つまり精神的なコストを減らすためです。

いくら好きでも、そこに大きな障害があれば、恋愛の快感よりも不快感が勝ってしまいます。
とびきりルックスが良くても、喋る言語が違ったり、起きている時間帯が真逆だったり、豚肉を食べることを悪い事だと考えているような相手では、恋愛関係を維持していくことは困難です。

だから、はじめから恋愛対象外にしようという意識が働いているワケです。
「一目惚れ」と簡単に言いますが、実は我々は、信じられないくらい色々な計算してから好きになっているのです。

同一化とは

とはいえ、自分とまったく同じような環境の人など、どこにもいるワケがありません。
なので人は、これらがなるべく自分と近い人を好きになったあと、相手とこれらを同調させようとします。
これを「同一化」といいます。

たとえば恋人と同じ趣味をもったり、同じ物を買ったり、同じ曜日を休みにするといったことがそれです。
ロックバンドのライブ会場に来ている子達は皆、バンドのメンバーと似たような衣装を着たりしますが、あれも同一化の一種とみなすことができます。

同一化とはすなわち、相手に好かれようとしている行為です。
実際に、お互い強く惹かれあっているカップルは、この同一化が物凄いスピードで進行していきます。
同一化している項目が多いほど、互いのストレスが減り、より長く恋愛関係を維持できるということを本能的に知っているからです。

なので人は「好きになった人の好きなもの」をなるべく好きになろうとする心理メカニズムを長い進化の歴史の中で身につけてきました。
従って、あなたが持っている物と同じ物を欲しがる異性や、あなたの口癖をマネするような異性は、あなたに興味を持っている可能性が非常に高いといえます。

ペアルックも同一化のひとつ

異性にアプローチする前でも、この同一化している項目の多さを測ることで、ある程度の成功確率を割り出すことが可能です。
仮に自分と魅力レベルが同じくらいの友達がライバルだとすれば、同じ会社、同じ趣味、同じ休みなど、共通点が多い方が恋人として選ばれる可能性が高いでしょう。

【2】生物学から見た恋愛

生物学は体を考える学問

英アバディーン大学の研究チームは、
「人は自分と似た顔の同性に対しては “信用できる” という印象を持つ傾向があるが、自分と似た顔の異性に対しては “生理的な嫌悪感” を覚える傾向がある」
という研究結果を報告しています。

つまり恋愛を発展させる上では、顔がお互いに似ていないことが重要だといえるのです。
誰でも自分の顔には、ある種のナルシズムを持っていますので、自分と似た顔の同性に対しては、親近感を覚えるというのは納得できます。

対して、自分と似た顔の異性に対しては、近親交配を想起させてしまうばかりか、「自分と同じ性なのではないか?」という思いが意識的にも無意識的にも生じてしまうため、恋愛が発展しにくいといえます。
確かに、最高の条件の異性であっても、顔が自分と激似だったら、絶対に好きにならないですよね?

家族間で恋愛に発展しない理由

親子・きょうだい間で恋愛に発展したという話は、映画やドラマ以外では聞きません。
親戚同士ですら殆どないですよね。
当たり前のように感じますが、この理由を説明できる人は少ないハズです。

子供の頃に一緒にいた時間、匂い、免疫系の相性など色々な説がありますが、その中に上記の顔が似ている異性を好きにならない心理が関係していると言われています。
生まれながらにして離れ離れになった兄と妹が再会しても、恋愛に発展しにくいようになっているという事のようです。

体型も似ていない方が良い

顔だけでなく、実は身体的特徴に関しても同じことがいえます。
太っている人や肥満の遺伝子を持っている人は痩せている人に惹かれますし、低身長の人は高身長の人に惹かれます。
足が短い人は足が長い人に惹かれ、顔が大きい人は顔が小さい人に惹かれます。

病弱な人や、先天的に何かの病気を持っている人ほど外見がシンメトリー(左右対称)な人に惹かれることもわかっています。
これは、シンメトリーな人ほど、健康で長生きするということを我々は本能的に知っているからです。

似てない人に惹かれるというよりは、自分の欠点を補ってくれる要素を持った異性に惹かれるといった方が適切かもしれません。
恋愛とはつまるところ、どのような遺伝子と掛け合わせたら素晴らしい作品(子供)ができあがるか?ということをさがす旅なワケですから、 誰しもがそういう相手に惹かれるというのは自然なことかもしれません。

まとめると、
「環境や価値観に関しては自分と似ている人を好きになるが、顔や身体的特徴に関しては自分と似ていない人を好きになる」
となります。

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